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SEPの、今は倉庫として使用されている旧舎の中から、時代錯誤にもノイズが流れ出ている。
ザザ、ザザ、という音に混じって声が聞こえた。
しかし、何を言っているのかはわからない。
突然、女性の声が聞こえた。
「This is MOON. I'm sure……」
いくつかノイズの向こう側と会話を交わして音がプツリと途切れた。
ドアがゆっくりと開き、少女が頭を出した。
少女はあたりを見回し、誰もいないことを確認して外へ出た。
小走りに去ってゆく少女の姿を見るものはいなかった。


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