雨夜の月

ガラスの向こう
黒い空には光もなくて

静寂の中
冷たい部屋に雨音が響く

貴方を恋しく想い
夜空を見上げてみるけど
重たく垂れ込む雨雲が
私の想いも霞ませる

頬を伝う一滴の雨
滲む世界の中で
「会いたいのに…」
雨夜の月の下
願いは儚く消えてく


一人で過ごす
時間はとても静かで長く

貴方の声が
聞こえる瞬間(とき)を待ち続けている

貴方に会えない夜は
夜空の光に願うの
今夜はそれも許されない
カーテンを握って俯く

頬を伝う一滴の雨
滲む世界の中で
「ここに来てよ…」
雨夜の月に願う
儚く消える運命(さだめ)でも

涙の跡を残して
沈んだ淡い夢の中
優しく頬に触れる指が
私の心を溶かしてく

頬を伝う一滴の雨
滲む世界の中で
「夢じゃないよ」
光が雲を払う
願いは空に消えていく


雨夜の月:
恋人の姿など、想像するだけで実際には見られないことをたとえていう
(広辞苑より)  
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