Lorelei

揺れた岸辺に落ちる
残響音が奏でる
言葉も色褪せた世界
偽りの愛の詩

どこか幻に似た
終わり無き前奏曲(プレリュード)
崩れゆく岸壁の上
見下す穢(あい)の吟

忍び音は水の音に
掻き消された装飾音(グレース)
淡い真実はまだ
誰にも知られないまま

孤独と共に歌う
私の声は聞こえますか
たった一つ響く魅惑に
惑わされることなく

今はまだ訪れぬ
誓いの人の夢を見よう
水辺に浮かぶ月は消える
夜明けを嘲りながら

途切れ途切れに続く
楽音が写し出す
無機質に流れる世界
壊れた灰(かい)の調

触れたガラスに伝う
鮮烈な多声音楽(ポリフォニー)
ありふれた嘘を並べて
歪む快の調

歌い手は遊び手に
狂わされた音階(スケール)
儚い幻だけ
ただ描き続けながら

願いを風に歌う
私の声は届きますか
揺れる航路沈む誘惑
虚ろなガラス細工

今はもう還らない
雫の過去は夢に霞む
水面を崩す遠い月は
夜更けを卑しく告げる

枯れ果て乾いた土の上
座り込んだそのままで
一人震える手を握りしめた
まだ耐えられるように、と

残酷なほどに冷えきった
あの空を見上げながら
凍える息が途絶えないよう
一縷の望みを歌う

孤独と共に生きる
私の声は聞こえますか
たった一つ響く魅惑に
惑わされることなく

今はまだ訪れぬ
誓いの人の夢を見よう
水辺に浮かぶ月は消える
夜明けを嘲りながら

望むのはただひとつ
この場所へと来てくれますか
夢の続きの夢を見よう
闇のなか 一つきり

終わりなど無いことを
この唄に誓い捧げよう
夢の人が応える日まで
そう、私のためだけに


ローレライの伝説から作成。
ローレライを愛しい人を待つ女のようにして書きました。

待っているのはただ一人、
誠実な愛情を持つ貴方だけ。  

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